第198回 国会 衆議院 法務委員会(平成31年3月22日)

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石原(宏)委員 おはようございます。自由民主党の石原宏高です。

 本日は、裁判所職員定数法の一部を改正する法律案に関し質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 私は、議員歴がことしに入り十年を超えましたけれども、法務委員会は、自民党の国対で一時的になったことはあったんですけれども、本格的な審議に所属したのは昨年の臨時国会以降です。ある意味、法務行政の素人ですが、素人は素人の視点で質問をさせていただきたいと思います。

 本当にシンプルな質問で、最高裁にお聞きしたいんですけれども、今回の法案の中で、判事の数を、定員を二千八十五名から二千百二十五名に四十名ふやしますけれども、その理由についてお聞かせください。

村田最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 今回、判事の増員を四十お願いしているところでございますけれども、まず、事件動向それから事件処理状況について検討した上で、民事訴訟事件の複雑化ですとか、家事事件の増加、複雑化、また新たな事件類型への対応ということで、事件処理にたけた判事の増員が一定数必要だというふうに考えたものでございます。

 また、今後の判事定員についての充員の見込みといったことも考慮をさせていただいているというところでございます。

石原(宏)委員 昨年の同法案の審議の議事録を読んでいる中で、当時、無所属の会の黒岩委員の発言で、私のちょっと資料の一枚目に黄色線で載せていただいたんですけれども、こういうくだりがあります。結局は、判事補が判事になれないことを防ぐために判事の定員をふやしていくような員数合わせを、ともすれば、機械的に、算術的に定員の増の数字が決まっている、このようなうがった見方もされちゃうわけですよねという発言があります。

 ただ、法務行政の素人の私からすると、そういう見方があって何か問題があるのかなというような思いがするんです。

 私の資料の三枚目、これは衆議院の調査局の法務調査室の資料に書いてあるんですけれども、その十五ページにこういうくだりがあります。通常、十年間判事補として研さんした者については、特段の問題がなければ判事に任命されるというふうに記載があります。私は素人ですから、真面目に努力してきた判事補が十一年目に判事に昇格することは何の問題もないんじゃないかなというふうに思うんです。

 そこで、質問をいたします。

 私の資料の四枚目、これも衆議院の調査室の資料ですけれども、その抜粋で、司法修習終了者数及びその後の任官状況等という資料があります。十一年目に判事補の方が判事になられるというさっきの記述から考えると、実際に平成三十一年度に判事となられるのは、この資料の平成二十一年に判事補になられた、これは二つの数がありますけれども、何か試験のタイプが違うということで、七名と九十九名なんですけれども、この百六名の方が中心になられると思うんですけれども、この百六名のうち、平成三十一年に判事になられる人数は何人か教えてください。

村田最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 平成三十一年度に新たに判事に任命される者の多くが平成二十一年度に判事補に採用された六十二期の判事補であることは、委員の御指摘のとおりでございます。

 六十二期の判事補は、委員の資料にもございましたとおり、合わせまして百六名でございましたところ、行政官庁での外部経験等に伴いまして、ことしの一月十六日時点で裁判所に勤務しております者は八十六名となっております。この日以降にまた行政官庁との出入り等も想定されますので、一定の増減というのはあるかと思いますけれども、六十二期判事補のうち、おおむね八十六名前後が平成三十一年度中に所定の手続を経て判事に任命されることが見込まれております。

石原(宏)委員 そこで、ちょっとお伺いしたいんですけれども、私の資料の五枚目、資料五というところなんですけれども、この上のところに、これは去年の十二月一日現在の定員と実際の数というのが、判事の数が載っています。

 今回四十名ふやすんですけれども、前の定員は二千八十五名なんですが、昨年の十二月一日現在の判事の人数は、実際いた人数は千九百七十二名なんですね。ですから、ここに欠員という、百十三名欠員なんです。今度、平成三十一年に、平成二十一年に入られた、判事に八十六名がなられるわけですから、実は、百十三名、要するに欠員があるんだから、定員をふやさなくてもいいんじゃないかなと思うところがあるんです。

 ただ、もしかすると、平成二十一年の前に判事補になられた方もなるかもしれないので、また、平成三十一年度中に退官される判事もいらっしゃると思うので、そういうことで計算をされてこの四十人の定員増というのは決まっていると思うんですけれども、もし、こういう数字になってこういうふうに四十を、数字を置いたんですよという計算式があったら、それをちょっと教えてほしいんです。

村田最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 平成三十一年度中は、六十二期の判事補以外でも、既に判事補の身分から行政官庁等に外部経験ということで勤務を始めている者が判事になって戻ってくる、裁判所に復帰するという者も相当数いることが見込まれますし、また、判事の身分で出向して判事で戻ってくるというような者もございます。

 ただ、これがそれぞれの期でどれぐらいの人数がいるかというところにつきましては、異動に左右されるところ、あるいは外部経験先の方の御都合等でいろいろ動くこともございますので、なかなか、何期の者が何人戻ってくるというところの見通しをお答えするのは難しいというのは御理解をいただきたいと思います。

 その上で、四十の根拠でございますけれども、充員見込みというところから御説明をいたしますと、プラスの方は、先ほど御指摘のありましたとおり、八十六の六十二期の判事補プラス、今申し上げたような外部経験先から戻ってくる者ということで、八十六プラスアルファというところがふえる方の数字でございます。

 他方、減る方の数字でございますけれども、平成三十二年一月までに定年退官を迎える判事の見込み数は十五名程度というふうに思っておりまして、さらに、このほかに、年によって人数にばらつきがあって予測が難しいところもございますけれども、依願退官、願いによりまして退官する判事も一定数おるというところが予想されます。ここ数年ですと、年間二十数名から三十数名というところが多いというところでございます。

 このような流動的な事情がございますので、正確な予測は困難だということは御理解いただきたいと思いますけれども、平成三十二年一月時点の判事の現在員は二千七十五名から二千百二十五名の範囲かなというふうに思っておりますので、今回増員いただくところも、おおむね適切に充員するということが可能ではないか。むしろ、逆に申し上げますと、御増員を認めていただいたところで充員をしていきたいというふうに考えているところでございます。

石原(宏)委員 ありがとうございました。

 次に、判事補から判事になられた場合、先ほど八十六名の方が、平成二十一年の方がなられる予定なんですけれども、年収は平均幾ら上がるんでしょうか。判事補の最終年度の平均の収入と判事の初年度の年収額の平均額を教えていただけますでしょうか。

堀田最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 平均的年収という数字は持ち合わせていないところでございますが、地域手当の支給割合を東京都特別区の二〇%とする諸手当を含めた年額で申し上げますと、判事補の最上位の区分であります判事補一号の場合は約九百五十万円、判事の最初の区分であります判事八号は約一千四十万円となります。

石原(宏)委員 判事補から判事になられると、今だと九百五十万と一千四十万、これは平均ですけれども、九十万円ぐらい給料が上がるということです。

 以前、ことしになっての法務委員会の質疑で、弁護士の収入について、法務省が日弁連の協力を得て実施したアンケートの内容を答弁されたと思いますが、私の記憶だと、初年度の年収が五百六十八万円、五年目が一千三百六十万円、そして十五年目が三千八十五万円だったと思うんですが、これで、法務省、正しかったでしょうか。

小出政府参考人 お答えいたします。

 数字につきましては、今委員御指摘のとおりでございます。

 若干補足させていただきますと、この調査でございますが、法曹の収入等を把握することを目的といたしまして、法務省が平成二十八年七月に、日本弁護士連合会の協力を得て、登録一年目から十五年目までの全弁護士二万一千人を対象として書面によるアンケート調査を実施いたしまして、全体として三七%の回答を得ておりますが、その調査結果でございます。

 御指摘の登録経過年数の弁護士の収入の平均値につきましては、委員御指摘のとおりでございます。

石原(宏)委員 なぜこの質問をしたかというと、司法修習生のとり合いが厳しいと。昨年の質疑の中でも、大手法律事務所との競争が激しい旨の答弁がありました。私は法務行政の素人ですから、普通のサラリーマンから国会議員になったものですから、本当に頑張っている判事補の方が十一年目に判事に昇格して年収が上がることは、よい人材を確保する上でも必要だと思うんです。もちろん年収だけではありませんけれども、やはりそういう面もあるんではないかというふうに思うんです。

 次に、ちょっと似たような、フリンジベネフィット的な観点で質問させていただきたいと思いますけれども、霞が関のいわゆるキャリア官僚の方は、海外のMBAやロースクールに留学する方も多いんだと思うんです。裁判所でも判事補の方がロースクールに留学する方がいると思いますけれども、平均的な十年間の判事補生活の中で何割程度の方がロースクールに留学するのか、教えていただきたいと思います。

堀田最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 判事補の外部経験のプログラムの一環といたしまして海外留学の制度を設けておりますところ、毎年三十五名ないし四十名程度が、一年又は二年間、海外のロースクールや裁判所等におきまして各国の司法制度等の研究を行っているところでございます。

 ここ十年間の判事補の採用数は平均して約九十人でございますので、毎年、平均いたしますと、約四割の判事補が海外留学しているということになります。

石原(宏)委員 この人数は法務省から留学する割合と比べて遜色がないのか、法務省にお聞きしたいと思うんですけれども、法務省の入省十年以内のキャリア官僚の方で、何割程度の方がロースクール等に留学するのかを教えてください。

西山政府参考人 お答えいたします。

 法務省では、人事院による在外研究員派遣制度を利用する場合も含めまして、毎年複数名の総合職職員や検事を諸外国の大学院等に派遣しているところでございます。

 平成二十一年度から平成三十年度までの十年間で見ますと、各年度とも二十名前後程度の総合職職員等を海外に派遣しておりまして、これは、その十年間における総合職職員等の採用数の約二割に相当するものになります。

石原(宏)委員 何でこういう質問をするかというと、要するに、法務省よりも裁判官になった方がそういう機会はあるということがわかったと思うんですけれども、だから、それがある意味、裁判官になる動機づけになってくれて、いい人材が入ってほしいという思いでちょっと質問させていただきました。

 似たようなことなんですけれども、やはり私の友人で、弁護士で、独立して商業弁護士事務所を開業している友人がいるんですけれども、前いた事務所でアメリカのニューヨークのコロンビア大学のロースクールに留学させてもらって、ニューヨーク州の弁護士資格を取得しました。

 裁判所、法務省両方に聞きますけれども、何人程度の方が海外の弁護士資格を取得されているのか、わかれば教えてほしいのと、あと、これはなかなかわからないかもしれませんけれども、海外弁護士資格の取得の状況というのは大手弁護士事務所と比較して遜色がないのかどうか、もしわかれば教えていただきたいと思います。

堀田最高裁判所長官代理者 まず、裁判所の方からお答え申し上げます。

 海外の弁護士資格を取得している判事補の人数は、裁判所としては把握をしていないところでございます。

 なお、海外留学する判事補に対しましては、裁判官としての海外留学をより有意義なものとするため、海外の司法試験の受験勉強よりも裁判所等での実務的な研究が重要であると伝えているところでございまして、司法試験を受験する者は少ないものと認識しているところでございます。

小出政府参考人 お答えいたします。

 企業法務や渉外事案等を取り扱う法律事務所に所属する弁護士におきまして、海外のロースクール等に留学して外国の弁護士資格を取得する例が少なからずあるということは承知しておりますが、その具体的な人数や規模等については、法務省としては把握しておらないところでございます。

石原(宏)委員 海外の弁護士資格を取っている人数というのは裁判所も法務省も把握していないし、それが、では、大手の法律事務所との比較はできていないわけですけれども、大手の法律事務所はやはりお金を出して留学をさせて資格を取らせているということで、そういうところでもやはり司法修習生の奪い合いのポイントになってくるんじゃないかなと思いますので、私は、先ほど裁判所は、勉強を中心にという話がありましたけれども、資格を取らせるようなこともこれから考えていってもいいのではないかと思います。

 残り二分ぐらいになってしまいましたけれども、フリンジベネフィットのプラスのところで何問か聞こうと思ったんですが、あと二分なので、これはちょっと俗的ですが、やはり、偉くなっていったら公用車がついたりするというのも一つのフリンジベネフィットだと思うんですけれども、裁判所で何名程度の方に送り迎えの公用車がつくのか、どの程度の役職になるとつくのか、ちょっと教えていただけますでしょうか。

笠井最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 御指摘の送迎の点でございますけれども、最高裁判所につきましては、最高裁判所長官、最高裁判所判事の十五名と、事務総長、首席調査官各一名を対象としております。

 ほかに、司法研修所、裁判所職員総合研修所の所長二名も対象となっております。

 下級裁判所につきましては、現在、高等裁判所長官八名、知財高等裁判所所長一名、地方・家庭裁判所所長七十一名を対象としております。

石原(宏)委員 そうすると、大体百名ぐらいの方が公用車がついているということではないかというふうに思います。

 あと一分ですね。一分なので、もうまとめます。

 何か損得の話ばかりしているなというふうに感じられる方もいられるのかもしれませんけれども、やはり私は、三権分立の民主主義の日本の中で、司法に魅力がなくなって、よい人材が集まらなくなってしまうことはまずいと思うんです。ですから、よりよい人材を確保するためにも、働きやすい、よりよい環境を用意する必要がある。

 ですから、私は、判事補の方が、やはり一生懸命やっている方が判事になって百万円近く給料が上がることもいいことだと思うし、偉くなったら公用車がつくこともいいことだと思うので、まあ、法務行政の素人なので、ちょっと俗っぽい、サラリーマン的な観点から質問させていただきました。

 これで質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

葉梨委員長 以上で石原宏高君の質疑は終了いたしました。