第211回 国会 衆議院 内閣委員会 第12号

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医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三八号)

大西委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。石原宏高君。

石原(宏)委員 おはようございます。自民党の石原宏高でございます。

 早速ですが、次世代医療基盤法改正案について質問に入らせていただきたいと思います。

 WHOが発表した二〇二〇年版の世界保健統計によると、日本の平均寿命は八十四・三歳、世界一の長寿国です。本来は喜ばしいニュースですが、ところが、多くの方はこのニュースを聞くと、長生きはいいけれども老後が心配だとおっしゃいます。これは、寿命と健康寿命の差があるからです。平均寿命は八十四歳ですけれども、健康寿命は七十四歳。逆に言えば、人生最後の十年間は病気とつき合っていかなければならないということです。

 健康寿命を延ばす、この目標を掲げて、政府は、政府を挙げて、医療分野の研究開発の促進や、その前提となるICT利活用の促進が図られてきました。こうした取組の一環として、次世代医療基盤法が制定、施行されたものと認識しています。

 しかし、施行後約五年を経て、現行法の課題も明らかになってきました。今回の法改正は、現行法の課題を克服し、国民の健康寿命を延ばし、老後に安心と夢を持てる世界をつくるためのものと理解しています。今回は、こうした観点から質問をさせていただきたいと思います。

 まず一問目ですけれども、匿名加工医療情報の利活用が広がっていない原因についてお伺いいたします。

 日本には、国民皆保険制度の下、豊富な医療データが存在しています。ところが、これまでこれらのデータの活用が進んでこなかった。そこには様々な課題があったと思います。それらの課題を克服し、医療データの一層の活用促進のために次世代医療基盤法が制定され、匿名情報の制度が整備されました。にもかかわらず、施行から約五年たった現在、匿名情報の利活用は二十一件にとどまっています。その原因はどこにあるのか、お教えください。

西辻政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の次世代医療基盤法では、医療情報を匿名加工した上で研究開発に利用できることとしておりますが、この匿名加工におきましては、個人の識別につながるおそれがあります特異な検査数値ですとか希少な疾患名などの情報を削除することが必要になります。このため、医療の研究現場からは、匿名加工医療情報では精緻な研究ですとか希少な疾患に関する研究を行うことは難しいのではないかという御指摘もいただいているところでございます。また、匿名加工医療情報につきましては、事後に情報の信頼性を検証する方法がないことから、薬事承認申請に利用することが事実上困難であることも課題とされております。

 現行法が施行されまして約五年、最初の匿名加工医療情報作成事業者が認定されて約三年半でございますが、この間の活用件数が二十一件にとどまっている背景としては、こうした匿名加工に起因する制約が影響している部分もあるのではないかというふうに認識をしております。

石原(宏)委員 ありがとうございます。

 そういう意味で、今回、匿名加工だけではなくて、仮名情報という形になるというふうに認識をしております。

 では、二問目、同じような内容になってきますけれども、同じく現行制度の下、匿名情報を加工できる認定事業者、匿名加工医療情報作成事業者の数は三と伺っております。個人情報保護の観点から医療情報の加工を担う事業者には厳格な要件が求められるのは当然ですが、約五年間で僅か三というのもやはり少ないような気がいたします。認定の要件が厳し過ぎるのではないでしょうか。

 また、認定事業者の収支はおおむね均衡していますが、認定事業者が実際のデータ加工やデータ管理を委託している事業者の収支は赤字となっています。幾ら公益性の高い事業とはいえ、認定事業者も、その事業を受託する事業者も民間事業者である以上、初期投資やランニングコストに見合った利益が上がらなければ事業は継続できません。利用料や委託料の設定に問題はないでしょうか。データ利用者が増えれば収支は改善するのでしょうか。お考えをお聞かせください。

西辻政府参考人 現行法におきます認定匿名加工医療情報作成事業者は、医療機関から顕名、つまり実名の入った形で医療情報の提供を受け、その保管、加工を行うことになるため、組織的側面、あるいは人的側面、物理的側面、それから技術的側面から厳格な安全管理措置を講じる体制を求めておるところでございます。

 このように厳格な基準を満たすことが必要になりますため、これまでに認定を受けた匿名加工医療情報の作成事業者が三事業者にとどまっているということ自体は必ずしも不自然なことであるとは認識はしておりません。

 一方で、認定に際しましては、例えば認定事業者として収集する医療情報について、一定の規模を確保することを求めておりますが、こうしたものにつきましてはより柔軟な対応を可能とすべきではないかといった御意見もいただいておるところであり、今後検討していきたいというふうに考えております。

 また、認定匿名加工医療情報作成事業者におきます利用料あるいは委託料の設定でございますが、医療情報の収集、加工、提供に要するコスト等を総合的に勘案した上で、自律的に事業を運営することを基本として、各事業者において決定しているところでございます。

 現状では、委員から御指摘いただきましたように、各認定事業者共に、情報基盤整備を始めとした初期投資がかさみ、経営的には非常に厳しい状況にあるというふうに認識をしており、今後、利活用の拡大を含む認定事業の進捗によりまして、収支の改善が図られ、適切な事業運営がなされていくことを期待しているところでございます。

 政府といたしましても、今回の改正を含め、医療情報の収集、提供、研究利用が円滑に行われ、研究成果の国民の皆様への還元につながるよう、引き続き、適正な医療情報の利活用環境の整備に取り組んでまいりたいと考えております。

石原(宏)委員 是非、すばらしい試みなので、事前の説明の中で、認定事業者が委託をしているIT企業が数億円の赤字が年間出ているという話を聞きました。それがずっと続くと、なかなか、受託事業者も継続というのが危ぶまれると思いますので、是非、やはりこの利用を増やして、そして手数料が入るようにして、経済合理性が働くように、今回の改正でしっかりと進めていっていただきたいと思います。

 次に、認定事業者に対し医療情報を提供する協力事業者、協力医療情報取扱事業者は現在百余りと伺います。多様なデータを集め、それを利活用していくためには、より多くの多様な分野の事業者に協力事業者となっていただき、データの提供を受けることが不可欠と考えます。そのために政府はどのような施策を取られているのか、御説明ください。

西辻政府参考人 お答え申し上げます。

 医療分野の研究開発を推進するために、医療機関等が保有する医療情報の利活用が重要となっておりますことから、今回の改正法案におきましては、国が広報活動、啓発活動等を通じて、制度に対する国民の皆様の理解を深める措置を講じていくこととしており、また、医療機関等に対しましては、認定事業者への医療情報の提供等の協力に努めていただく旨の規定を設けております。

 また、医療機関等からの医療情報の提供に当たりましては、医療現場における負担を軽減することも重要であるというふうに考えておりまして、現在も、ガイドライン等におきまして、医療機関が医療情報の提供のために必要な情報システムの改修のコスト、これを認定事業者側で負担することが可能であること、それから、医療機関から患者様へ通知等を行う方法につきましては、書面での交付のほか、郵便、電子メールによる方法、あるいは窓口等でタブレット端末を提示する方法なども可能であること等をお示ししているところでございまして、医療現場の負担の軽減にも努めているところでございます。

 今後も、より多くの医療機関に医療情報の活用の推進の重要性について御理解いただき、医療情報を提供いただけるよう取り組んでまいりたいと考えております。

石原(宏)委員 医療機関でデータを提供するためにいろいろなシステムの改修みたいなものが必要になってきて、それを認定事業者が援助したりするんですけれども、先ほど御質問したように、認定事業者自身が収支とんとんで、受託業者が赤字という形になりますから、私は、これをしっかり進めるためには、医療機関に対するシステム改修に対して、やはり政府として何か補助を考えることも検討すべきではないかというふうに思います。ある意味、鶏と卵みたいな感じかと思いますので、せっかくすばらしい試みなので、私自身は個人的には、そういうことも考えていく必要があるのではないかというふうに考えているところであります。

 先ほども伺ったように、匿名加工だけでは匿名性が高過ぎる余り、その利活用に支障が生じる。それを解決するために、今回の法改正では仮名情報、仮名加工医療情報という枠組みが創設され、その加工事業者と利用事業者の認定制度が設けられます。

 しかし、その認定基準が余りに厳し過ぎ、実態にそぐわないものになっては、事業者の数が増えず、利活用が進まないことも予想されます。特に、今回新設される利用者の認定基準を定めるに当たって、利用者に丁寧にヒアリングを行い、利用の実態に即した基準とすべきではないかというふうに考えます。

 政府は、新たな作成事業者の認定基準、また利用事業者の認定基準についてどのような基準をお考えなのか、お聞かせください。

西辻政府参考人 お答え申し上げます。

 現行法の匿名加工医療情報作成事業者の場合は、氏名や被保険者番号など顕名の情報を医療機関からいただいて収集、管理する、それから、情報の利用申請があった場合には法律の目的等に照らし審査を行う、さらに、適切に匿名加工を行った上でデータを提供する等の能力を確認した上で認定を行っているところでございます。

 今回の改正案で創設いたします仮名加工医療情報の作成事業者につきましては、匿名加工ではなく仮名加工を行うという点は異なっておりますが、医療機関等からの情報の収集、管理、あるいは法令に基づく利用審査等の業務内容は匿名加工の医療情報作成事業者と基本的には共通であることから、ほぼ同様の認定基準とすることを考えておるところでございます。

 また、改正法案で創設いたします仮名加工医療情報の利用事業者につきましては、個人情報保護法で求められる安全管理措置を適切に講じる体制があること等につきまして、事前に確認の上、認定を行うことと考えております。その場合でございますが、利用事業者の場合、顕名情報は扱わない、また、自ら匿名加工や仮名加工を行わないという点が作成事業者とは大きく異なっております。

 利用事業者の具体的な認定基準につきましては、このような事業特性や、利用することが想定されます製薬企業あるいは大学等の研究機関の実態も踏まえながら、安全管理措置が適切に講じられるよう、施行までの間に、情報セキュリティーや法律に関する専門家、実務家等の御意見も丁寧にお伺いしながら、検討を進めてまいりたいと考えております。

石原(宏)委員 ありがとうございます。

 事前の説明で、現在の匿名情報事業者の三グループも、恐らくこの仮名情報事業者になられるという話もお伺いしたところであります。

 次に、独立行政法人医薬品医療機器総合機構、いわゆるPMDAに、仮名情報を用いた薬事承認の申請を認めるのか、この点についてお伺いしたいと思います。

 報道でよく取り上げられるのが、海外では承認されている薬が日本では未承認のために使用できないという問題、いわゆるドラッグラグの問題です。日本では欧米に比べて薬の承認スピードが遅く、治験ボランティアが集まりにくいとも言われています。この問題を解決するための鍵の一つが、既存の医療データの活用です。治験により新たなデータを収集するのではなく、既存の医療データを薬事承認申請に活用する。これが可能となれば、ドラッグラグ解消への足がかりになるはずです。

 そのことを念頭に、今回の改正では、薬事承認申請のため、仮名情報をPMDAに提供できると規定されています。しかし、実際に薬事承認申請に用いるには、データの質の問題、また信憑性の問題をクリアしなくてはなりません。

 また、実際の仮名情報は存在していないので仮定の話になってしまいますが、今回の法案が成立した後、PMDAは仮名情報を用いた薬事承認申請をどのように認めるのか。仮に課題が残るとするなら、その課題を乗り越えるためにどのような取組が必要というふうに考えられているのか、お教えください。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 医薬品の薬事承認申請に当たりましては、その有効性、安全性を評価するため、一般的には、治験において、注意深く、選択された均質な患者集団を対象に、適切な対照群を設定した比較試験が実施されます。

 一方、患者数が少ないなどの理由により治験の実施が困難な場合等がございまして、そういった場合には、企業による開発が行われにくく、医療上のニーズが十分に満たされない場合が生じてまいります。このような場合におきまして、疾患レジストリーや医療情報データベース等のリアルワールドデータを薬事申請に利活用することが考えられます。

 例えば、医薬品を投与した患者群に対する比較対照として、プラセボ群に代えましてリアルワールドデータを活用することや、既に承認されている医薬品につきまして、特定の疾患背景を持つ患者や特定の年齢層に対する最適な投与量を検討する際に、当該背景を持つ疾患に対して使用されたデータがこのリアルワールドデータに含まれている、そういった場合には、当該データを有効性あるいは安全性の評価に用いることなどが考えられます。

 一方で、このようなリアルワールドデータの薬事申請への利活用に向けましては、治験の場合には、その実施の基準であるGCP等の基準の遵守を通して信頼性を確保することが求められておりますが、それと同様に、データを扱う事業者等におきまして、データの信頼性を確保する取組が適切に行われていることが必要と考えております。

 そのため、厚生労働省では、これまで、レジストリー等の医療情報データを薬事申請に利活用する場合の信頼性確保の考え方といたしまして、令和三年三月に、特定の疾患等に係るデータを収集したレジストリーを利用する場合の基本的考え方や留意点、それから、令和四年九月に、電子カルテ等に基づき構築された医療情報データベースを利用する場合の留意点をお示ししており、これらは、これから出てくるであろう仮名加工医療情報に対しても適用可能と考えております。

 また、医薬品の審査を行うPMDAでは、レジストリーや医療情報データベースの薬事申請への活用に関しまして事業者等からの相談に応じる仕組みを設け、個別のデータベース等について信頼性の確認や信頼性確保のための助言等を行っております。

 さらに、今年度からは、新たに薬事申請への活用に意欲のあるレジストリー事業者を複数選定し、PMDAとの人材交流や研修等を通じまして、当該レジストリーの信頼性確保の取組を集中的に支援する事業を開始することとしております。

 今後、仮名加工医療情報が利用可能となった場合におきましても、この同様の考え方や取組を適用していくことが可能と考えておりまして、その薬事申請への活用が進むよう、事業者によるデータの信頼性確保の取組を支援してまいりたいと考えております。

石原(宏)委員 ありがとうございます。

 続けて、諸外国の薬事承認申請における仮名情報の取扱いについて御質問させていただきたいと思います。

 海外にも様々な医療データが存在します。諸外国において、治験データに限ることなく、データベース等に蓄積された情報により薬事承認申請が可能な国があるでしょうか。あるなら、その具体的な枠組みはどのようなものか、お教えください。

山本政府参考人 委員お尋ねの諸外国での活用事例でございますが、医療データベース等に蓄積された情報につきましては、諸外国におきましても薬事承認申請への利用を可能としている場合があり、実際に活用されている事例も承知しております。

 例えば、米国におきましては、ある民間企業が、がん患者の電子カルテ情報から構築したデータベースを、プラセボ群に代えて、比較対照として活用した実績、あるいは、適用拡大のためのデータとして用いた実績などがあると聞いております。

 また、EUにおきましても、複数の医薬品の承認申請におきまして、有効性を評価するためのサポートとしてリアルワールドデータを活用した事例があると聞いております。

石原(宏)委員 続けて、海外の薬事承認機関への仮名情報の提供を認めるかどうか、お伺いしたいと思います。

 提供先は、今回の法律の改正の中でPMDA等とありますが、この等とはどこを示しているのか。一例として、海外での薬事承認への利用も検討されるべきだと思いますが、そのような海外の薬事承認機関を提供先とするお考えはあるのか。また、現状において困難であるとするならどのような課題があるのか、お教えいただければと思います。

西辻政府参考人 お答え申し上げます。

 医療分野の研究開発はグローバルに進められておりまして、創薬につきましても多くの国で薬事承認を目指す動きが顕著であることから、この改正法案におきまして創設いたします仮名加工医療情報につきましては、外国での薬事承認でも利用できるように検討する必要があると考えております。

 このため、改正法案におきましては、PMDAだけではなく、省令で定める外国の薬事審査機関に対しても、認定仮名加工医療情報利用事業者が承認申請のために仮名加工医療情報を提供できるということとしております。

 具体的に省令に規定する外国の薬事審査機関でございますが、その国におきまして十分な個人情報の保護が図られているかといった観点が非常に重要になりますので、こういったことに関しまして、関係者の御意見を伺いながら検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

石原(宏)委員 世界にはいろいろな国があります。なるべくいろいろな国が利用できたらいいと思いますけれども、やはり海外で日本の情報が漏えいするようなことがあってはならないので、厳格に提供する先を選んでいただければというふうに思います。

 次に、連結対象となるデータベースの範囲についてお伺いいたします。

 本改正案により、データの利活用の促進のために、匿名情報は公的なデータベースと連結できるようになると承知しています。連結対象となるデータベースとは現在どの範囲を想定されているのか、お聞かせください。

西辻政府参考人 厚生労働省におきましては、NDB、それから介護保険総合データベース、DPCデータベースの三つの公的なデータベースにつきまして、既に相互の連結提供が始まっておりますほか、現在、感染症法に基づく感染症データベースや予防接種法に基づく予防接種データベースといったそれ以外の公的なデータベースにつきましても、NDBとの連結提供に向けた準備が進められていると承知をしております。

 今回の改正法案におきます匿名加工医療情報作成事業者から提供される匿名加工医療情報につきましても、これらのデータベースとの連結解析が可能となるような提供を想定しているところでございます。

石原(宏)委員 ありがとうございます。

 時間も残り少なくなってまいりましたので、あと二問ほど。

 ちょっと基本的なところに戻るんですけれども、今回対象となっているデータの内容についてお伺いします。

 改めて基本的なことをお尋ねしますが、そもそも、加工される前の生データというのはどのようなものでしょうか。病院のレセプト、カルテなど容易に想像できますが、それ以外にありますか。また、このデータには、行った診療行為は含まれているとしても、その結果も含まれているのですか。例えば、行った検査の内容とともに検査結果も含まれているのか、お教えください。

西辻政府参考人 認定匿名加工医療情報作成事業者が協力医療機関等から提供を受ける医療情報でございますが、認定事業者と医療機関等との間の契約においてその内容は決められるものではございますが、基本的には、どのような診療行為を行ったのかといったいわゆるインプット情報、それから診断の内容、さらには検査数値等、診療行為の実施結果に係るいわゆるアウトカム情報についても提供が行われるものと承知をしております。

石原(宏)委員 時間も残り僅かとなりました。最後に大臣にお伺いいたします。

 日本には、世界に冠たる国民皆保険の下、豊富な医療データがあります。そこには、単なる診療行為の記録だけではなく、その診療行為を実施した結果がどうなったかという情報も含まれます。さらに、人の人生を通じて、どのような医療や医薬品がどのような効果を上げたのかというライフコースデータともなります。これは治験では得ることのできない貴重なデータです。まさに国の宝と言っても過言ではありません。

 一方で、医療情報は究極の個人データですから、自分の医療データが創薬に使われると聞いて不安を感じる人も少なくないでしょう。そういった人には丁寧に説明をして、情報の保護をしっかりと図られていること、また、医療データの活用によってどのような成果が得られるのかを具体的に示し、納得していただくことが大切です。自分のデータを活用して病に苦しむ人を救ってほしいと全ての国民が進んでデータの活用を希望する、そういった国民の理解と協力が得られる努力をしていかなければなりません。

 今回の改正によってどのような利益が国民にもたらされるのか、また、医療データの活用についてどのように国民の理解を得ていくのか、大臣の御決意をお聞かせください。

高市国務大臣 今回の改正によりまして、新たに仮名加工医療情報を活用できます。これによって、例えばリアルワールドデータを薬事承認審査に活用できるようになりましたら、これは承認審査に必要なデータを製薬企業が迅速かつ効率的に収集することができますから、新薬開発や既存薬の新たな効能への適用拡大の迅速化が期待できると考えています。

 また、研究開発への利活用に堪え得る匿名加工が難しいCT検査などの画像情報につきましても、仮名加工医療情報としてであれば提供が可能となるということが見込まれますので、画像診断支援AIなどの開発への貢献が期待できます。

 もう時間が来ているんでしょうか。(石原(宏)委員「そうですね。短めで」と呼ぶ)じゃ、まとめさせていただきます。

 患者、国民、医療事業者の方々など、多くの皆様の御理解が不可欠でございますので、本制度の意義また制度の仕組みについて、広報資料の作成また説明会の開催など、様々な機会、手段などを通じて周知を図ってまいります。

石原(宏)委員 大臣、ありがとうございました。

 時間が来ましたので、終わります。