外交・防衛・国際協力
更新日:2021年2月17日
民主党政権時代、日本の外交は著しく信用を失いました。沖縄普天間基地問題、尖閣諸島沖での中国船衝突事故、メドベージェフ前ロシア大統領の北方領土訪問、竹島への李明博元韓国大統領の訪問、韓国政府の自民党議員、ウルルン島訪問拒否、民主党政権の対応のまずさは、国益を棄損し、日本のプレゼンス低下に直結する由々しき問題でありました。
しかし、安倍前総理の「地球儀を俯瞰する外交」により、日本は外交の信頼を取り戻すことが出来ました。自公政権の下、外交力を抜本的に高めてゆくため、大使館体制の強化など、外交基盤の整備が直実に進んでいます。
【日本の大使館及び在外公館数の推移】
- 2009年~2012年 民主党政権時代 204→203
大使館新設 1 政府代表部新設 1 総領事館廃止 3
- 2012年~2020年 自民党政権時代(安倍・菅政権時代)203→229
大使館新設 19(134→153)総領事館新設 5(61→66)
政府代表部新設 2(8→10)
また、自民党が政権奪還後、日本企業が海外で仕事をし易くし、企業の負担を減らすための、投資協定、租税条約、社会保障協定、及び経済連携協定(EPA)等も着実に国会での承認件数が推移しています。
民主党政権最後の2012年、国会が空転する中、承認案件が0件であったものが、自民党政権に移行してから、2020年の通常国会までに、77件の条約や協定が国会で承認されました。
【近年の投資協定、租税条約、社会保障協定及び経済連携協定の国会承認件数の推移】
日本のODA予算は、1997年の1兆1,687億円をピークに、2021年度予算の5,680億円と約半減(▲51%)まで縮小しましたが、自民党政権では外交ツールとして利用出来る外務省のODA予算を着実に増加させてきました(2013年 4,212億円 2014年 4,230億円 2015年 4,238億円 2016年 4,342億円 2017年 4,343億円 2018年 4,344億円 2019年 4,376億円、2020年4,429億円、2021年4,498億円)。これからも、世界が狭まる中、ODA予算を活用し、日本のプレゼンスを向上させて参ります。
2021年1月に茂木外務大臣が政府四演説の外務大臣演説で掲げた、日本外交の七本柱、①日米関係の強化、②「自由で開かれたインド太平洋」③近隣諸国との関係改善、④北朝鮮問題、⑤中東情勢、⑥新たなル-ル作りに向けた国際的取組、⑦地球規模的課題への対応は日本外交を考える上で重要なポイントです。
①日米関係の強化は、普天間基地の辺野古へ移設、新日米ガイドラインの制定、平和安全法制の成立、日米FFRの成立、安倍・トランプ両首脳から菅・バイデン両首脳の友好関係等により確実に進捗しています。現状、日米関係は戦後、最も友好的な関係にあると言っても過言ではありません。
一方、③近隣諸国との関係改善、④北朝鮮問題は、厳しい状況にあります。朴前大統領の時代に、韓国との間で、慰安婦問題に関する日韓合意がなされ、関係改善が図られましたが、その後、ムンジェイン大統領の時代になり、戦時中の朝鮮半島労働者に関する判決、「和解・癒し財団」の一方的な解散、自衛隊機へのレーダー照射、国会議長の天皇陛下への不敬発言等国際法や国際約束の違反、非礼を繰り返す韓国との関係は悪化しています。北朝鮮との関係も、米朝会談は二度行われたものの、核・ミサイル開発の断念には至っていません。拉致問題も進展が見られない状況です。ロシアとの関係も、度重なる安倍・プーチン会談が行われたものの、北方領土の返還には至っていません。更に中国との関係は、2019年6月にG20に習近平首席が訪日することで一端、改善の兆しが見えましたが、新型コロナ禍、尖閣諸島における中国の度重なる船舶、軍用機による侵犯、香港における国家安全法による民主化勢力への弾圧、ウイグル自治区に於ける人権侵害等で厳しさを増しています。
その様な状況下、中国の軍事的進出や中国独自の国際ルール確立との姿勢を警戒して、自由経済、民主主義、法の支配といった同一の価値を共有する日米豪印による②「自由で開かれたインド太平洋」といった概念が、7本柱の二つ目に掲げられる程、重要さを増しているのです。
⑤中東情勢への対応です。
中東地域においては高い緊張状態が継続し、また、イスラエルと一部のアラブ諸国が国交を正常化するなど、情勢の変動が見られます。世界各国が様々な関係を持つ、この地域の平和と安定は、我が国を含む国際社会の平和と繁栄に不可欠です。我が国は原油輸入の約9割をこの地域に依存しており、中東地域の海域において、航行の安全を確保することは極めて重要です。引き続き、中東地域の緊張緩和と情勢の安定化のために、多方面に信頼関係を有する日本の立場も活かし、粘り強い外交努力を通じて貢献していきます。
⑥新たなルール作りに向けた国際的取組を主導します。
世界で保護主義や内向き志向が強まる中、日本は、TPP11以来、日EU・EPA、日米貿易協定、日英EPA、RCEPなど、自由貿易の旗振り役としてリーダーシップを発揮してきました。引き続き、日本が推進してきた自由で公正な経済圏の拡大や、ルールに基づく多角的貿易体制の維持・強化に取り組みます。
ポストコロナで重要性が増すデジタル分野においては、G20大阪サミットで議長国として立ち上げた「大阪トラック」を国際的に推進し、データ流通の共通ルール作りを主導するとともに、国連、WTO、OECD等の場においても、国際的なルール作りの中心的な役割を果たします。また、「質の高いインフラ投資に関するG20原則」や「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」など、日本が2019年G20サミットで打ち出した原則・ビジョンの普及・具体化に向けて、引き続き国際的な指導力を発揮します。
以上に加え、日本企業の海外展開支援を始め、官民連携の強化に一層取り組みます。また、東日本大震災から10年を迎える本年、海外における風評対策と日本産食品に対する輸入規制措置の撤廃に向けた働きかけも、一層強化します。
同時に、日本の政策・取組・立場に対する理解と支持を拡げるため、パブリック・ディプロマシーを一層力強く展開するとともに、中南米を始めとする世界各地の日系人社会との連携にも、これまで以上に取り組んでいきます。
⑦地球規模課題への対応です。
「人間の安全保障」の理念に立脚し、積極的かつ戦略的なODAの活用を通じ、SDGs達成を始めとする地球規模課題への取組を加速します。特に現在、気候変動問題への取組は最も重要な課題です。2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロとする、「カーボン・ニュートラル」の実現に向け、パリ協定が目指す脱炭素社会を実現するため、本年のCOP26を含め、各国と連携しつつ、国際社会の取組をリードしていきます。また、海洋プラスチックごみ、人権、難民・避難民、女性の参画、防災など、SDGs達成に向けた諸課題にも積極的に取り組みます。
2022年にはアフリカで2回目の開催となる第8回アフリカ開発会議(TICAD8)がチュニジアでの開催が予定されています。新型コロナの感染拡大でその重要性が更に高まっている保健分野を含む開発課題に対し、人材育成を始め、「アフリカ自身が主導する発展」を引き続き力強く後押しします。
新型コロナの世界的な感染拡大により、今まで以上に国際協調が求められる中、日本はこれまでも国連を始めとする多国間の枠組みを重視してきました。この点、日本の常任理事国入りを含む安保理改革は待ったなしの課題であり、具体的交渉を開始すべく取り組むとともに、国際社会の平和と安定に一層貢献するため、2022年の安保理非常任理事国選挙での当選を目指します。また、国連PKOや2021年3月に日本で開催される第14回国連犯罪防止刑事司法会議、通称「京都コングレス」等を通じて、幅広い国際課題に積極的に貢献していきます。こうした多国間の枠組みを通じた貢献を一層進展すべく、より多くの有能な日本人が国際機関で活躍する機会を増やす取組を強化していきます。
次に、国防に関し申し上げます。
現状の我が国を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増しています。特に、北朝鮮は2016年1月の核実験に続き、2月には「人工衛星」と称する核弾頭ミサイルを発射しました。更に、2017年に入り3月には、4発同時の弾道ミサイルを発射し、7月にはICBM級「火星14」を発射、IRBM級「火星12」型ミサイルは、5月、8月、9月に発射、11月には新型ICBM級「火星15」型の発射も行いました。これらの一連の動向は、北朝鮮の核兵器開発をより一層進展させるとともに、その運搬手段となりえる弾道ミサイル能力の増強に繋がるものであり、我が国の安全保障上極めて懸念すべき問題です。更に、中国は、尖閣諸島周辺で艦船による恒常的な活動を実施し、2018年1月には潜水艦とフリゲートが尖閣諸島の接続水域内を航行しました。そして、中国の海警局の監視船による尖閣諸島への侵犯は恒常化し、中国の海警法の改正に伴い、外国船への海警局監視船による武器使用が認められたことから、一触即発の危険性が拡大しています。また、独自の主張に基づく「東シナ会防空識別区」の設定といった公海上空における飛行の自由を妨げるような動きを継続し、2017年以降、西太平洋への軍用機の飛行が急増しています(2017年8月には爆撃機が紀伊半島沖まで進出)。南シナ海においては、大規模かつ急速な埋め立てや港湾・滑走路などの施設の建設を強行し、一方的な現状変更及びその既成事実化をより一層進展させており、その動向は、今後も強い関心を持って注視してゆく必要があります。また、グローバル化と情報通信をはじめとする技術革新が進む中、国際テロが増加・拡散するなど、一国・一地域で生じた混乱が直ちに国際社会全体の課題となるリスクが高まっています。この様の状況を踏まえ、以下の施策を自公政権は推進して参ります。
まず、平和安全法制の施行に伴い、あらゆる事態に対し切れ目のない対応を行う態勢を周到に作り上げて参ります。その為にも、新日米ガイドランに沿って、日米防衛協力の深化を図って参ります。 防衛力強化のために、2018年12月18日に策定された「防衛計画の大綱」及び「中期防衛力整備計画」に基づき、陸海空の領域横断作戦を実現するため、宇宙・サイバー・電磁波といった新たな領域における能力を強化します。我が国の偵察衛星に対するキラー衛星、対衛星攻撃ミサイル等の攻撃からの備えとして、空自に宇宙領域専門部隊を新編し、宇宙状況監視(SSA)システムの整備、宇宙設置型光学望遠鏡の整備、Xバンド衛星通信網の整備等を進めます。サイバー攻撃への備えとして、サイバー防衛部隊の新設等の体制拡充を行い、情報収集能力や調査分析能力の強化、実践的な訓練環境の整備等を行います。電磁波爆弾といったコンピューター等に壊滅的な打撃を被る攻撃への対策として、電磁波の利用に係る企画・調査機能を強化するため、内局及び統幕への専門部署を新設し、電磁波情報の収集・分析能力の強化及び共有態勢の構築、相手方のレーダーや通信等の無力化のための、装備品の研究開発や整備を推進します。更に、継続的に従来の陸海空の領域における能力強化も進めます。 航空優勢の獲得のため、哨戒ヘリコプター搭載護衛艦(「いずも」型)の改修により、F-35B(STOVL機=短距離離陸垂直着陸機)が配備可能とします。また、STOVL機も新たに18機購入します。海上優勢の獲得のため、潜水艦の整備(5隻)、試験潜水艦の導入も行います。島嶼防衛のため、島嶼を占領した敵に対し、中距離から攻撃可能なスタンド・オフ・ミサイル(JSM、JASSM及びLRASM)の整備も行います。ミサイル防空能力向上のためイージス・アショアの代替策も進めます。また、直近の「中期防衛力整備計画」(令和元年~令和5年)の各年度の予算編成に伴う防衛関係費は概ね25兆5千億円を見込みます。
各国との安全保障協力の推進も重要な課題です。日米同盟の強化に加え、豪州、韓国、ASEAN諸国、インド、欧州諸国など関係各国との共同訓練や防衛装備・技術協力を含む防衛協力・交流を引き続き推進して参ります。その一環として、2018年には、ベンガル湾海空域での日印共同訓練、グアムにおける日米豪共同訓練等を行っています。
世界に誇れる外交・防衛・国際協力を自公政権はこれからも全力を尽くして進めてゆくことをお約束致します。