年金制度
更新日:2021年2月17日
年金制度に関して、かつて民主党が掲げた最低保障年金月額7万円、保険料負担は月収の15%を上限等、議論は行われましたが、結局、賦課方式から積立方式への移行は困難ということで年金の抜本改革案は提出されることはありませんでした。私もかつて、全額税負担の最低保障年金と積立方式への移行へ賛同の立場でありましたが、困難であることを思い知らされました。
過去に平成22年度決算(2010年度決算)における厚生年金基金残高113.4兆円、国民年金基金残高7.7兆円を基に、経済評論家の野口悠紀雄氏の試算で2030年まではこの基金残高があるので現行制度は維持出来るとした記載が野口氏の著書にありましたが、それから先については引き続き問題が残ります。勿論、堅実なシミュレーションを基に抜本改革の議論は常に行う必要性があると私は考えますが、不確定要因が多すぎる中、まずは現行制度に修正を加えながら継続するための、議論を優先せざるを得ないと思います。
足らざるを補う観点から、令和元年予算では、消費税が10%に10月1日から引き上げられることを前提に、低年金受給者に対し最大月額5千円の上乗せして、最大年6万円上乗せした給付を行います。
また、高齢者の勤労意欲向上を狙い、年金減額の見直しも現在、議論されています。国の財政同様、年金試算も逐次開示し、オープンな議論を深める必要性があると私は考えます。
ここでは引き続き、現行制度のお復習いをします。
国民年金
保険料=2017年度以降、月額1万6千900円を40年間支払えば、65歳から生涯毎月6万5千円貰える。対象は自営業者、自営業者の配偶者、非正規労働者、無職、学生等
厚生年金
保険料=2017年以降、月収の18.3% 雇用者、被雇用者折半)65歳より標準世帯で生涯平均年収50%を受給 平均受給月額30.9万円(平成29年度)、対象はサラリーマン・公務員世帯
更に、今までも記載していた経済同友会の年金改革案を古いですが、面白い考え方なので記載します。
2002年12月に経済同友会の社会保障改革委員会(井口武雄委員長)がまとめた改革案では、月額7万円をナショナル・ミニマムと設定し、それ以外は自己責任で、必要があれば民間の年金を活用するというもので、詳細は以下の通り。
- 消費税と基礎年金相当分の積立金を原資として、原則として65歳以上の高齢者に対し、一人月7万円、年84万円の「新基礎年金」を創設する
- 厚生年金の報酬比例部分については、既払込手数料を基礎年金の積立分を除いて払い戻し、公的年金は解消し民間への移行をはかることにする
- 保険料払戻し不足分は国債発行により調整し、払戻しは複数年かけて実施することとする
- 改革時における受給者について払戻しはせず、激変緩和措置として、厚生年金既裁定額から新基礎年金7万円を差し引いた額の5割(ただし、上限6万円)を「終身特例手当」として支払う
年金受給者には不満が残るかもしれませんが、現行の年金制度を信用していない現役世代、特に若者にとっては、支持される改正案になるかもと思っていたので参考までに掲載しました。
何にせよ、年金制度を議論する上には、詳細なシミュレーションが必要であり、シュミレーションの開示を行いつつ、国民的議論を継続的に行うことが重要であると繰り返しになりますが私は考えます。