2015年11月30日から12月13日、フランス・パリでCOP21が開催され、「パリ協定」(Paris Agreement)を採択されました。当該協定は「京都議定書」に代わる、2020年以降の温室効果ガス 排出削減等のための新たな国際枠組みです。歴史上はじめて、すべての国が参加する公平な合意となりました。2020年までに各国が削減目標を決め、実施をしてゆくことになります。
21世紀に入り地球温暖化や大気汚染など、環境問題が深刻になってきていますが、経済活動面においても環境に配慮した「グリーン経済」の考え方が広まってきました。欧州委員会は、EUの政策を通じ、「グリーン経済」に1050億ユーロを投入するとかつて発表しました。アメリカや中国も、環境分野への援助や環境関連事業の雇用創出に力を入れ始めています。従来の大量生産・大量消費の流れから、環境に配慮した経済活動へと、世界の流れは確実に変化してきています。
企業側でも、環境に配慮することが、デファクト・スタンダードになりつつあります。かつて経済活動とは、環境に相対するものと思われていた。しかし近年においては、環境を考慮することが、長期的に見て企業の活動そのものにもプラスになるという考え方が浸透してきました。省エネ製品や環境対応車の普及がその好例といえます。
我が国においても、かつて、省エネ効果のある家電の購入に対しエコポイントを付与したり、エコカー補助金、減税等を行ってきました。
環境対応車の普及促進は重要です。経年車の廃車を伴う新車購入に際し、環境対応車の普及拡大を講じれば、排気ガス対策にもなり、かつ自動車産業への活性化に結びつき、雇用拡大にも繋がるのです。国や自治体の公用車を買い換える際にも、環境対応車に買い換えることが必要であると私は考えます。
住宅、小中学校校舎、合同庁舎等においても省エネ改修を進めることで、環境効果、経済効果が見込めます。一般住宅については、新築住宅は省エネ化が進んでいますが、既存住宅は省エネ性能が低いといわれています。既存住宅を省エネ改修する際の、所得税控除も、2009年度税制改正で導入されましたが、今後、更なる拡充も検討していく必要があります。
環境問題は正にCOP21の合意に基づき世界規模で取り組まれてゆきます。我が国の国民一人一人も環境問題に強い意識を持ち、「グリーン経済システム」の構築を積極的に進める時代が来たと私は考えます。