生活保護制度の見直し
更新日:2021年8月1日
民主党政権下、生活保護者は急増しました。厚生労働省によれば、生活保護者数は平成21年度(2009年度 一カ月平均)1,763,572人、平成22年度 1,952,063人、平成23年度 2,067,244人、平成24年度 2,135,708人と民主党政権下の3年4カ月で、約47万人急拡大しました。
自民党政権に戻ってからは、平成29年度までの数値ですが、平成25年度(2013年度 一カ月平均)2,161,612人、平成26年度 2,165,895人、平成27年度 2,163,685人、平成28年度 2,145,438人、平成29年度 2,124,631人と、平成24年度と比較して、平成29年度では約1万人に減少しています。更に、生活保護費の推移を見ると、平成20年度 2.7兆円 平成21年度 3.0兆円 平成22年度 3.3兆円 平成23年度 3.5兆円 平成24年度 3.6兆円と民主党政権下で約6,000億円増加しましたが、自民党政権下では、平成25年度 3.63兆円 平成26年度 3.67兆円 平成27年度 3.70兆円 平成28年度 3.67兆円、平成29年度 3.66、平成30年度 3.61兆円、令和元年度3.59兆円、令和2年度3.71兆円(予算額)。令和3年度3.76兆円(予算額)と推移しており、平成24年度実績と令和3年度予算額を比較すると約1,600億円増と拡大幅は小さくなっています。
これは、自民党が政権を奪還した後、アベノミクスの効果で雇用が拡大したことや、平成25年度に生活保護法の改正が成されたことが起因しています。
平成25年(2013年)の生活保護法の見直しは、必要な人には確実に保護を実施するという基本的な考え方を維持しつつ、今後とも生活保護制度が国民の信頼に応えられるよう、就労による自立の促進、不正受給対策の強化、医療扶助の適正化等を行うための所要の措置を講ずるもので、以下の内容となっています。
1.就労による自立の促進
- 就労の支援に関する被保護者からの相談に応じ、必要な情報提供及び助言を行う事業を法定化。(※1)
- 安定した職業に就くことにより保護からの脱却を促すための給付金(支給額:上限額 単身世帯10万円、多人数世帯15万円)を創設等する。
2.不正・不適正受給対策の強化等
- 福祉事務所の調査権限を拡大する(就労活動等に関する事項を調査可能とするとともに、官公署の回答義務を創設する。)。
- 罰則の引上げ及び不正受給に係る返還金の上乗せをする。
(①不正受給の罰則について「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金」から「3年以下の懲役又は100万円以下の罰金」に引上げ
② 不正受給に係る徴収金について100分の40を乗じた金額を上乗せすることを可能とする) - 不正受給に係る返還金について、本人の事前申出を前提に保護費と調整する。
- 福祉事務所が必要と認めた場合には、その必要な限度で、扶養義務者に対して報告するよう求めることとする。
3.医療扶助の適正化
- 指定医療機関制度について、指定(取消)に係る要件を明確化するとともに、指定の更新制を導入する。(指定期間は6年間)
- 医師が後発医薬品の使用を認めている場合には、受給者に対し後発医薬品の使用を促すこととする。(※2)(改革工程表において、生活保護受給者の後発医薬品の使用割合について、2017年央までに75%とするとともに、2017年央において、医療全体の目標の達成時期の決定状況等を踏まえ、80%以上とする時期について決定する。その後、目標は2018年度とされ、2018年度以降も80%とすることが改革工程表に記載されました。)
参考)生活保護者の後発医薬品の使用割合推移
- 2015年度 63.8%
- 2016年度 69.3%
- 2017年度 73.3%
- 2018年度 77.6%
- 2019年度 86.2%
- 国(地方厚生局)による医療機関への直接の指導を可能とする。
4.健康・生活面等に着目した支援
- 受給者それぞれの状況に応じた自立に向けての基礎となる、自ら、健康の保持及び増進に努め、また、収入、支出その他生計の状況を適切に把握することを受給者の責務として位置づける。(※2)
当該改正は、平成26年7月1日に施行されました。(一部平成 26年1月1日(※2)、平成27年4月1日(※1) )
民主党政権下、生活保護者が急増し、生活保護費が拡大した原因は景気の低迷のみならず、厚生労働省の通達により、生活保護への申請・許可が緩和されたためであると考えられますが、自民党が政権を奪還した後、上記の見直しが行われた結果、生活保護者や生活保護費の拡大は抑えられています。
私は更に、生活保護制度の信頼を維持するために、必要な改正、適正化を自民党は進めてゆく必要があると考えます。学習院大学の鈴木教授が提唱される生活保護者が生活保護から脱するために、働いた場合、その賃金を「凍結貯蓄」(上限50~60万円)として保有出来るインセンティブを認めることも、私は検討すべきであると考えます。また、生活保護費の半分を占める医療扶助について、更なる削減を図るために、1割負担もしくは窓口負担500円等を設けることで、削減を実施する必要があるとも考えます。
生活保護者が救急搬送された場合、無理矢理、全ての検査を行う様な病院については行政指導を行い、改善が見込まれない場合は、指定病院を解除出来るように法改正でなりましたが、引き続き生活保護費を適正に抑制するためにあらゆる手だてを講ずる必要があると私は考えます。